快晴満月無風

メモ・自由研究

快適歩行9:グロテスクかグロテクスか

グロテスクかグロテクスか、いつも分からなくなる。いや分からなくなるどころか、グロテクスが正しいのではと思ってしまう。テクスチャーtextureという単語に引っ張られ、「よく分からんが"気持ち悪い質感"だとすると、正しいのはゲロテクスかな?」などと思ってしまうのだ。

そろそろ間違えないように改めて調べてみよう。

 

ブリタニカ国際大百科辞典アプリにはこうある。

グロテスク
グロテスク
grotesque

 

 人物,動物,花,果物などを含むアラベスク 文様の一名称。 イタリア・ルネサンス期にネロの黄金宮殿 が発掘され,そのグロッタ に人物や動物の足が植物と化した唐草文や,怪鳥が飛びかうなかに草花を散りばめた奇抜な壁面装飾を施したものが発見された。 このため,この種の文様を「グロッタの文様」の意味でグロテスキと呼んだ。 グロテスクはその英語・フランス語読み。 この文様は当時の建築や工芸品の装飾として流行し,以後ヨーロッパの伝統的文様の1つとなった。 バチカン宮殿のロッジア の装飾にラファエロ が用いたのがその初期の例。 新古典主義時代に,この語は醜悪な人物,滑稽な容貌などに用いられるようになり,現在一般に用いられる意味はこの用法に近い。 しかし美学的には,ロマン主義の時代に,T.ゴーチエ その他によって,崇高美に対立する基本的な美の要素として復権している。

 

同じくブリタニカ国際大百科辞典アプリには「グロッタ」も「黄金宮殿」の項目もある。

 

グロッタ
グロッタ
grotta

 

ヨーロッパの庭園に造られる人工の洞窟。 その起源は古代ギリシア,ローマにさかのぼるが,当時は神々の聖所としての意味をもち,冥界への入口とも考えられた。 15世紀にイタリア・ルネサンスの庭園に再び登場するが,これは古代庭園に存在したと考えられたからであり,夏季の格好の涼み場として噴水を伴って造られた。 L.アルベルティ は古代人がグロッタを自然の洞窟に似せて造り,軽石を張ったと記し,16世紀なかばのイタリア式庭園の確立期のグロッタには例外なくこの記述の影響がみられる。 その一方でグロッタには当時の文学や音楽の牧歌的な志向も関連しており,フィレンツェのパラッツォ・ピッティ の大グロッタのようにアルカディアの風景をフレスコ画レリーフで示すものもあった。 この流行は 16世紀中にヨーロッパ各地に広まったが,次第に水仕掛けによる遊戯的な性格が強まった。 フィレンツェ郊外のメディチ家プラトリーノのビラのように水力で人形が動き,グロッタの中に声や音を発する装置が仕込まれたものも現れた。 17世紀のフランス庭園,18世紀の風景式庭園でも好んで造られ,スタウアヘッド の庭園はその代表例。 また,中国庭園をまねて,岩による築山の上に東洋風の亭を配し,築山内部にグロッタを造った庭園も多くみられた。

 

 

黄金宮殿
おうごんきゅうでん
Domus Aurea; Golden House of Nero

64年のローマ大火後,皇帝ネロによって造営された大宮殿。 ドムス・アウレアともいう。 宮館,浴場,庭園,人造池,噴水などが,パラチヌス丘からエスクイリヌス丘まで,1.5km2にわたる敷地に配置された広大なものであった。 タキツスによれば,宮館の設計はセウェルスとケレルの2人。 宮館のプランは,入口のウェスティブルムをはさんで左右に東西両翼が広がっていたことが,発掘によって明らかとなった。 西翼は矩形の部屋が整然と並ぶ比較的単純なプランであるのに対し,東翼は,ボールト屋根をもつ八角形のホールを中心に,南面を除く各方向に放射状に5つの部屋が配置されるという変化に富んだ構成を示している。 各部屋は交差ボールトの屋根をもち,スタッコ,大理石,壁画などで装飾されていた。 豪壮さ,華美さのゆえに「黄金宮殿」の名で呼ばれた。 有名な『ラオコーン』群像 (バチカン美術館) は,1506年にこの宮殿遺跡から発掘されたものである。

 

 

つまり黄金宮殿のグロッタgrottaが先ず存在し、そこに-esqueという「~風、様態が似ている」を意味する接尾語が付いた。

grotta + esque = grotesque

グロテスクとはグロットエスク、グロット風だったわけである。

 

しかし調べてみると、語源となったネロの黄金宮殿のグロッタを飾った文様が気になる。Wikipediaに小さな画像が貼られており、ブリタニカアプリにも文様が紹介されているのだが、どこかに全体像が分かる高精細な画像は無いものか?

・・・・・・と更にネットで調べてみると観光サイトに幾つかの写真があった。

どうやら既にかなり損傷されているようである。残念。

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ドムス・アウレア - Wikipedia

Domus Aurea Tour: Nero's Palace with Aperitivo | Through Eternity tours