快晴満月無風

メモ・自由研究

快適歩行1:ノスタルジア三十年戦争

 ジスキネジア、ジスメトリア、ジストニア、ミオトニア、といったカタカナ医学用語の意味がどうにも覚えにくい。これは元の単語の語幹や接頭辞・接尾辞を確認した方が覚えやすそうだなと思い、よく見かける単語を幾つか調べた。

 ネット上に公開されているもので特に参考になったのは、松山大学薬学部の牧純先生が作成したものである。素晴らしい。

 

 

薬学・科学に用いられる英単語の接頭語に関する基本的検討

松山大学機関リポジトリ

 

薬学・科学で用いられる英単語の接尾語に関する基本的理解の試み

松山大学機関リポジトリ

 

 

 その中で、"痛み”を意味する「-algia」という接尾辞の項目に、arthralgia(関節痛)やneuralgia(神経痛)といった語に並んで、nostalgiaという語が挙げられていた。これは英語の苦手な私にも分かる、ノスタルジアである。

 nostはギリシャ語の"故郷"から来るそうで、nost-algiaは"故郷を想っての痛み"、つまり"郷愁"というわけだ。面白い。

 

 

 ところで南山堂医学大辞典(第20版)には「郷愁反応」という項目があり、これの英語見出しもnostalgiaである。郷愁に基づく反応性障害、近年だと異環境における適応障害で、帰郷によって症状が消失する……要するにホームシックだろう。

 南山堂医学大辞典は「郷愁反応」の歴史的経緯についても触れており、医学的に記述された最初の事例は、17世紀の三十年戦争においてベルギーで戦っていたスペイン軍兵たちだと紹介している。(英語版wikipediaだとSwiss mercenariesto=スイス傭兵とある)

 故郷を離れて戦うスペイン軍兵たちには意気阻喪・微熱・動悸・不安・抑うつといった症状が見られたという。

 

 

Nostalgia - Wikipedia

スイス傭兵 - Wikipedia